『それはきっと――だれかが見た夢だった』
長い長い戦いが終わった。
結局彼女は誰も救うこともできず、また全員を救えたとも言えた。
地獄は終わり、人々は夢を見出す。
それでも自分はもう少しやれたのではないか。
大切な人たちをもっと守れたのではないかと考える。
自分にならそれがやれると確信していても答えは虚に近いものだった。
たしかに、彼女の功績を考えれば英雄と讃えられるだけのことをしたのだろう。
それでも彼女は納得していなかった。頭が回るだけに導き出した道が自分の首を締めたのだ。
もう少し上手くやれるだろうと、自分を戒める。
なにより自分の「家族の幸せ」という大切な物を守れなかったのだ。
悔みもしよう。
ゆえ彼女は長い時を経て「彼」に全てを託した。
「お願い。その運命に呪われた魔法を――」
“その、『運命の魔法を』――――素敵な出会いに変えてあげて”
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